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教育プログラム
APUでは、圧倒的な多国籍・多文化の環境を活かし、学生の学び・学び合いを最大限に引き出すことができる教育、“Global Learning”の実現を目指しています。2013年度より、教育の担い手である教員のトレーニングとして、米国ミネソタ州にあるミネソタ大学とAPUとの連携FDプログラムを実施しています。2016年度までに約20名の教員が参加しています。*FD=Faculty Development(教員が授業内容・方法を改善し、教育の質を向上させるための組織的な取り組みの総称)
ミネソタ大学とAPUとの連携FDプログラム(以下、ミネソタFDプログラム)は、多文化環境での教員研修に定評のある、ミネソタ大学と連携して実施しています。プログラムの中で教員は、自分の授業方法を振返りながら、授業構成や、双方向授業の活性化といった、“より効果的な教え方”を修得していきます。
学生の学びの質保証
カリキュラムや授業構成に関する
先進的な考え方の取得
アクティブ・ラーニングや
双方向授業の活性化のための
手法習得および学生の学びの目標設定
英語が母語でない教員対象に
英語で授業を行う上での英語スキル向上
この3つのゴールを掲げた1年間のトレーニングプログラムでは、参加者(APU教員)が全員集まって受講するワークショップや個別コンサルテーション、そして実際に講義を受けている学生からのフィードバックセッションなど、座学のみならず、プログラム参加教員同士がアクティブに学び合います。
APU プログラム参加教員の講義を撮影したビデオを、ミネソタ大学の研修担当講師へ送付することからスタート。
ミネソタ大学 ミネソタ大学担当講師はプログラム参加教員が普段どの様な講義を行っているのかビデオで確認します。
より良い講義を考えるワークショップ
APUでミネソタ大学担当講師による、ワークショップが実施されます。授業構成の基本的な考え方やアクティブラーニングの手法を学びつつ、各教員は、どの教授法を自身の授業へ取り入れることができるかを考えます。グループで議論し、付箋を用いたブレインストーミングを通して、教員同士が所属する学部やセンターの枠を超えて共同で課題に取り組みます。
SFC (Student Feedback by Consensus)
SFCは、プログラム参加教員の授業を受講している学生から、授業に対する意見を聞くことを目的としています。受講生は、通常通り授業を受け、授業時間内の最後の15分間にこのセッションが行われます。教員は席を外し、ミネソタ大学担当講師が進行します。学生は5、6人のグループに分かれ、授業の「良いところ」「改善が望まれるところ」をディスカッションした後、意見をまとめてグループごとに発表します。そして発表された意見について、他の学生も共感できるかどうか、全員で確認します。
個別コンサルテーション
ミネソタ大学担当講師と、プログラムに参加するAPU教員が1対1で行うコンサルテーションです。ミネソタ大学講師は、実際に見学した教員の講義とSFCで挙がった学生の意見をもとに、録画した授業の様子を見ながら一緒に振り返りを行います。
APUのプログラム参加教員が渡米し、ミネソタ大学で、授業見学や、教授法に関わる様々なワークショップを受講します。
教育学やコースデザイン(授業構成)の理論理解、教授方法などを、ミネソタ大学の実践例を交えて学んでいきます。
オンラインでミネソタ大学担当講師による個別コンサルテーションが実施されます。本FDプログラムで何を学び、どう活かしていくことができるか、具体的に今取り組んでいることや、課題などについて話し合います。
ミネソタ大学担当講師が来学し、二度目のSFC(Student Feedback by Consensus)が行われます。ここでは、フェーズ1(初回のSFC)での学生からの意見や、ミネソタ大学での実地トレーニング、担当講師とのコンサルテーションを経て、どのような変化が見られたかを確認します。また、本プログラムに参加するAPU教員全員が参加するワークショップでは、一年間のプログラムを振り返りながら、プログラムに参加したことで得た気づきや学びについて共有し合います。
学内向けワークショップ
ミネソタFDプログラムの集大成といえる学内参加型ワークショップでは、プログラム参加者以外のAPU教職員を招いて、プログラムに参加した教員がプログラムでの学びや成果を発表し、ワークショップ参加者全員でディスカッションを行います。2016年12月に行ったワークショップには、初めて学生も参加し、プログラム全体を通じてAPUの教育力向上や授業運営に役立つ取組をいかに学内に広め、APU全体で取り入れるか、独自のFDの仕組みをどのように構築するかについて、異なる立場や視点を持った参加者が熱く語り合いました。
ミネソタFDに参加した、井口由布 アジア太平洋学部教授のコメントを紹介します。
このプログラムに参加したことで、これまで手探りで行ってきたさまざまな教え方がどのような意味を持っているのか、どのような効果があるのかなどを改めて意識化することができました。ミネソタ大講師によるコンサルテーションでは、「受講生に『質問はありませんか』と問いかけていたのがよかった」など授業後すぐに具体的にアドバイスをもらえたため、研修での学びを体得できていることがわかりました。また、ミネソタ大で見学した「フリップトクラス(反転授業:事前にテキストを読んできてもらい、授業ではディスカッションなどで解釈を深める)」をAPUでも取り入れたいと思い、ある授業で事前に資料を渡し、次の授業の冒頭で簡単なクイズを行いました。授業後のSFCでは「自分の理解度を確認できてよかった」と、学生からも好評でした。教員は知識を伝えることや理解させることに目標を設定しがちですが、もっと大きな視点から学生の人生・成長にどう寄与するかを考えて授業を設計する大切さに気づきました。この経験を糧にし、学生が10年経っても覚えていてもらえるような授業をしたいと思います。
本学では、より質の高い教育を行うため、今後もこうした教員向けのトレーニングプログラムを実施していきます。