講演会: 持続可能な社会の実現|立命館アジア太平洋大学

イベントレポート

講演会: 持続可能な社会の実現

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

CIL研究メンバーのMAHICHI Faezeh准教授は、AMITAホールディングス株式会社(http://www.amita-hd.co.jp/)の宮﨑希如子さん(2018年度APU卒業生)を講師に招き、「持続可能な社会を実現するAMITA社の事業展開と資源回収を契機とした助け合いコミュニティのデザイン」と題した講演会を開催しました。

より詳しい研究内容はこちら

ゲストレクチャー:自然と人間の生命の調和のとれた暮らし方

本講演会は、MAHICHI Faezeh准教授を研究代表者とするCIL研究の一環として、地域、ローカル、グローバルな社会で包括的かつ持続可能な開発を実施するための教育的枠組みとしての草の根活動の可能性と課題を検証するために行われたものです。

2022年2月15日、Biodiversityの講義のなかで、AMITAホールディングス株式会社の宮崎希如子さんによるハイブリッド講義が実施されました。そのなかで、ソーシャルシステムデザインビジネスの事業を展開するAMITA社について説明し、同社で実践されている持続可能なビジネスモデル、例えばビジネスデザイン、ビジョン、ゴール、スタイル、主要なサービスが紹介されました。

宮﨑希如子さんによるハイブリッド講義の様子

AMITA社のミッションとは、持続可能な社会をデザインすることであり、そのための以下の4つのビジネスコンセプトを掲げています。(1) 社会的課題に対する解決方法の提供、 (2) 自然資本と人的資本の充実、 (3) ソフトとハードを融合したソーシャルテクノロジー、 (4) 産業現場や農場、都市部から排出される多様な廃棄物の循環、この4点です。AMITA社は、日本をはじめマレーシア、韓国、台湾に200名の従業員を配置し、過去45年間でおよそ1400社ものビジネスパートナーを獲得してきました。AMITA社が重要視しているものは、新時代における持続可能なコミュニティマネジメント、ソーシャルデザインビジネスと循環の統合化です。

講義の中で学生達はグループ毎に、理想的で持続可能なまちづくり、そこにある市民のライフスタイル、そしてその地域がいかにして持続し、さらに成長することができるかといった内容を議論しました。

さらに、AMITA社の2つの成功事例が紹介されました。

最初の事例として「南三陸町における負の資源を活用した総合循環システムと資源回収による助け合いコミュニティのデザイン」について説明がありました。これは、AMITA社が、地域デザインサービス、持続可能な循環ビジョン、地域経済活性化のための林業や漁業などの多様な環境認証に取り組んだ事業です。
ここでは、有機廃棄物の地域資源循環の可能性に着目し、次の3つの柱からなるバイオガス実証プロジェクトを立ち上げました。

1)バイオガス設備は焼却炉に比べて安価であること、廃液処理に液肥を使用することなど経済的であること。
2)臭気や有害物質の発生を抑制し、食品・屎尿を効率的にリサイクルできるため環境に配慮していること
3)ゴミの分別による環境に対する意識が向上し、社会的に効果があること。

AMITA社のプロジェクトの次のステップとして、「めぐるステーション」(訳注:循環ステーション)を建設しました。これは、ゴミを細かく分別し、住民達が率先して行動し、そこにゴミを持ち込むことでリサイクルとリユースを促す促進するものです。

めぐるステーションは、以下の3つの目的を掲げ、資源を収集することで助け合いコミュニティをつくることを目標としました。

a) ゴミのさらなるリサイクルとリユースを促進すること。
b) ゴミ収集のためのコストを削減すること。
c) コミュニティ内での住民間の交流。

2つ目の事例は、「神戸市長田区における資源回収によって推し進める助け合いコミュニティづくり」で、ここでは、中学生から90歳の市民が立ち上げた世代を超えた資源回収ステーションの紹介がありました。

地域の人たちは、資源材料で工作したり、彼ら手作りのカフェスペースでコミュニケーションをとったり、また互いにお礼のメッセージを書くなど、あっという間に親交を深めました。

その後、30分間の質疑応答では、宮崎さんとAMITA社常務取締役の唐鎌氏が対応し、AMITA社のプロジェクトやサービスについての議論が行われました。講義の最後に、学生達に対してグループプロジェクトとして「AMITA社の持続可能な社会モデル」に基づいた持続可能な別府を考えるという課題が示されました。

これまでのAMITA社とのコラボレーションと同様、APUの卒業生である宮崎さんによる講義を通して、より充実した学習経験を獲得し、大分県、日本、そして世界中のコミュニティと信頼と協力関係が作られることを期待します。

AMITA社 宮﨑希如子さん(左)と常務取締役 唐鎌真一氏(右)による講演の様子

出典名
1.Organical Facebook: https://www.facebook.com/OrganiCal-Organic-LoCal-104913145174102
2.AMITA: http://www.amita-hd.co.jp/
報告: 寺前みなみ 監修:MAHICHI Faezeh准教授
謝辞:齋藤元子(翻訳)、ROUX Petrus Willem准教授 (EDLSC)