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前アジア開発銀行副総裁 C. ローレンス・グリーンウッド氏がAPUで特別講演

講演・シンポジウム|来学者

2013/11/27

2013年11月6日(水)、前アジア開発銀行副総裁のC. ローレンス・グリーンウッド氏が、今最も関心の高いトピックの一つである「環太平洋経済連携協定(TPP):日本とアメリカへの影響」をテーマに、特別講演を行いました。60分にわたる講演は、環太平洋経済連携協定の合意によってもたらされるであろう課題や経済的利益にフォーカスした内容となりました。

グリーンウッド氏は、冒頭、自由貿易交渉に関し、「貿易交渉とは、政治的にある地域の市場を開放することで、相手側に譲歩を申し出ることです。他国を助ける以上に自国を助けることになる、という矛盾がここにあります。実際に、そうすることで、より多くの利益を得ることにつながります」と述べました。続くTPPの概要紹介では、アベノミクスが「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」とともに掲げる「3本の矢」の構造改革において、TPPは重要な役割を期待されている、と強調しました。

さらには、TPPの重要な内容について、TPPは日米にマクロ経済的な影響を与えるだろうと述べました。論点となっている日本の農業についても、「TPPは日本の伝統的な農業を荒廃させるものではありません」と見解を述べ、「TPP交渉には時間がかかっていますが、この年末には結論が出るでしょう。時間はアメリカの友人ではありません」と締めくくりました。交渉における政治的影響やタイミングに関する発言に続いて、30分の質疑応答セッションが始まりました。

グリーンウッド氏は、最低賃金、APEC、中国のTPP参加の可能性、合意におけるシンガポールの立場など、学生からの様々な質問に快く答えました。TPPが与える他の自由貿易協定への影響について質問があがると、グリーンウッド氏は、「私は個人的に、他の貿易協定とTPPが融合し、やがては貿易関係を定義づけてくれることを期待しています」と、その展開の可能性に言及しました。

30年以上に及ぶ米国務省や前アジア開発銀行での経験を経て、現在はメットライフアリコのシニアマネジングディレクターを務めるグリーンウッド氏。

APUの学生は、今回の講演を通じて、TPPに関する新たな視点を得ることができました。APUでは、経験豊かな専門家を招き、特別講演を行っています。将来の参考にするため、もっと多くの方の講演を聴きたいと思いました。

取材:NGHIEM Quoc Hoai Minh(国際経営学部、ベトナム社会主義共和国)
APU学生広報スタッフ<Student Press Assistant(SPA)>



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