立命館アジア太平洋大学

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学長ノート

APU20周年を祝し是永APU第3代学長から寄せられたメッセージ

2021/4/8

2020年11月
APU第3代学長 是永 駿
(任期: 2010年1月~2017年12月)

APUは日本列島の麗しい南の島九州の大分県別府市に立地している。国際観光都市別府の、海を見渡せる高台に立地していることは、APUの開放的なイメージを構成する大切な要素である。十文字原の台地に展開するこのユニークな大学を俯瞰する絶景は、APUのかけがえのない存在を象徴している。首都圏からは離れているが、その適度な距離感が却って、他に類を見ない唯一の存在としての独立性を保つ効果をもたらしている。

APUはその存在そのものが人間社会の普遍的価値に直結している。現在の人間社会は、差別、分断、敵視等の、自己と異なる他者を疎外する動きが加速している。新型コロナウイルスは、その疎外へと走る現代人の意識に、生存に関わる根源的な恐怖を呼び覚ました。大学は、徹底した防疫システムとともに、対人接触の柔軟な規律を工夫するなど教育・生活空間の見直しを迫られている。オンライン授業を併用しつつも、大学のキャンパスは、帰属意識の集約点、シンボルとしての意味を強めるだろう。いつどこで感染するかもしれないウイルスに対抗するためには、自己防衛の意識とともに、誰もがウイルスと闘う同じ人間なのだという意識を持つ必要がある。この、同じ人間であるという意識は、人間としての存在をお互いに認め合うという根本的な共存意識、ヒューマニティの意識であり、その人間の精神の自由と存在の尊厳を認めあうことである。それは、差別や分断の意識を打ち消し、人間が求める精神の自由という普遍的価値に直結する。それはAPUの建学の理念そのものであり、APUの存在そのものが人間社会の希望につながっているのだとも言える。経済利潤を求める資本のグローバル化は、結局、偏狭なナショナリズムを克服できないばかりか、却って覇権的な経済侵出とウイルスのパンデミックの引き金となった。今もっとも探求されるべきことは、精神の自由を求め、人間のあるべき姿を求める、ヒューマニティの意識のグローバル化である。国際法にもとづく平和共存も、その意識があって初めて実現する。分断を煽る差別、精神の自由を踏みにじる圧政に打ち克つためにも、ヒューマニティの意識に鍛えられた真のグローバル市民が求められている。

APUの魅力、その核心は、多様な国籍の学生、教員が、人文社会科学の分野で、国際認証を獲得したコースを含め世界レベルの高度なカリキュラムを実践する教育の現場にこそ宿っている。そこでの、人間の普遍的価値を確かめ、発見する営みこそが、強力な磁場となって、世界に発信される。教室風景、教員のメッセージ、学生の意志、それらがこの大学の存在の意味を解き明かす。そして、課外の祝祭としてのマルチカルチュラルウィークのグランドフィナーレでの、APUの多様性とエネルギーが弾ける舞台も、世界からAPUをめざす学生にとって、人間であることへの讃歌をその胸に呼びおこすであろう。APUに栄光あれ。



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