学長ノート

新入生へのメッセージ(2019年春入学式)

2019/04/02

出口 治明 第4代学長

新入生の皆さん、APUへの入学、本当におめでとう。APUは皆さんを心から歓迎します。保護者や関係者の皆さん、本日は、お子様が無事に入学されて、誠におめでとうございます。心からお喜び申し上げます。
入学にあたり、僕から皆さんに3つのことをお話したいと思います。

第1は、18歳とは、どういう年齢かということです。世界にはたくさんの国がありますが、ほとんどの国では18歳を成人とみなしており、日本でも選挙権の付与を含めて、その方向で物事が進みつつあります。
つまり、皆さんは大人になったのです。大人になるということは動物でいえば、親元を離れ自立する、即ち一人で生きていく、即ち自分のご飯は自分で稼いで自分で食べるということに他なりません。皆さんは、名実ともに自立したのです。
もう1つ、18歳には重要な意味があります。学習習慣や学習意欲は18~19歳にピークを迎えるという研究結果が出ています。
大学に入った時に、きちんとした学習習慣や学習意欲を身につけた人は、社会人になっても、学習習慣や学習意欲がそのまま継続します。そして、社会人になっても学び続ける人は、生涯所得が高いことが実証されています。即ち、楽しく豊かな人生を送るためには、18~19歳での学びが決定的な役割を持っているのです。言い換えれば、18歳になって、自立した皆さんの最初のチャレンジは、いかに学ぶ意欲や学びの習慣を身につけるかということに他なりません。

第2はAPUでの学生生活の中で、自分のやりたいことや、自分の好きなことを見つけてほしいということです。人生で一番楽しいことは、自分のやりたいことや好きなことにチャレンジすることです。もっとも、簡単に見つからなくても焦る必要は全くありません。なぜかというと、やりたいことや好きなことを見つけられない人の方が、はるかに多いからです。見つからなければ、自分は多数派だと思えばそれでいいのです。
一昔前までは、大学では色々な知見を万遍なく学ぶことが大切だと考えられてきました。でも、現在では、好きなことや、やりたいことに一所懸命取り組む方が学習成果、即ちアウトカムの質も量も共に高まることが実証されています。ぜひ、皆さんは色々チャレンジしてみて、自分のやりたいことや自分の好きなことを見つけるように心がけて下さい。APUの教職員全員は、皆さんの主体的な学びを全力で応援、バックアップしようと考えています。迷ったら、いつでも先生や職員を捕まえて尋ねてみてください。もちろん、学長室に僕を訪ねてくださるのも大歓迎です。

第3は、広い世界に飛び出してほしいということです。具体的には、留学を含めて、皆さんには、ぜひAPUにいる間に外国で暮らしてほしいと思います。観光旅行ではありません。どこの国であれ、現地で生活してみて、初めてその国のことがよく分かるようになるのです。
その点で、APUは理想的な教育環境のもとにあります。APUには世界約90の国や地域からおよそ3,000人もの若者が集まってきています。APUは小さな地球であり、まさに若者の国連なのです。このような恵まれた教育環境はわが国、日本のどこにもありません。ぜひ、皆さんは、この利点を活かして、広い世界に飛び出してみてください。
要は簡単な話で世界のお友達の生まれ故郷を訪ねるということにすぎないのです。極論すれば、僕は外国で暮らしてみて、初めて人間は多様性を理解できるのだと思っています。そして、多様性の確保こそが、ありとあらゆるイノベーションの母であるという経験則を覚えておいてほしいのです。

以上、3つのことをお話しました。皆さんはAPUでたくさんの人に会い、たくさんの本を読み、広い世界に旅して見聞を広めてください。人が賢くなる方法は、「人・本・旅」以外にはないのです。
老婆心ながら、読書が大好きな僕が選んだ、皆さんに読んでほしい本のリストをお渡しします。勉強は一人ではできません。仲間と切磋琢磨して、初めて学びは身につくのです。皆さんはぜひ、APUですばらしい仲間を見つけてください。

「Dream bigger. Reach higher」という僕の好きな言葉があります。
皆さんは、このAPUのキャンパスで、どデカイ夢を育み、互いに高め合ってください。皆さんのこれからの大学生活が元気で明るく楽しいものであることを、ワクワクドキドキする毎日であることを心から願っています。
入学、本当におめでとう。

2019年4月1日
立命館アジア太平洋大学
学長 出口治明



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