1. 健康管理・定期健康診断

感染症予防

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WHO(世界保健機構)は世界の三大感染症として、エイズ、結核、マラリアをあげて注意を促していますが、地球上には他にも様々な感染症があります。旅行中の環境変化と種々のストレスは、感染症にかかりやすい健康状態を作り出します。危険な感染症から身を守るためには、様々な知識が必要ですが、最低限必要と考えられる 10項目を下記にまとめました。旅行前には、必ずこの10ヶ条をよく読み、より安全で快適な旅行をするために役立てて下さい。

感染症予防の10ヶ条

1.渡航先の感染症情報を収集する

Travelers' Health(CDC)や、海外渡航者のための感染症情報(FORTH)には、旅行前・中・後に注意すること、感染症の最新情報、国別に検索できる感染症情報など、海外での病気予防について必要な情報が掲載されています。海外渡航の予定が立ったら、必ずこれらのホームページにアクセスするようにして下さい。
※外部リンクへ飛びます

2.感染症の感染経路を知る

感染経路 感染症
水や食べ物 コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、A型肝炎
マラリア、黄熱、デング熱、西ナイル病、日本脳炎
ネズミ ペスト
犬、猫、きつね、アライグマ等
あらゆる哺乳類動物の咬傷
狂犬病
傷口に入った水や土 破傷風、コクシジオイデス症
血液・体液 エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱
性行為*1 エイズ、梅毒、淋病、クラミジア、性器ヘルペス、B型肝炎など

*1: 詳細は、性感染症(PDF)を参照してください。

3.水道水も要注意!

衛生環境が良くない所では、水道水でも、微生物で汚染されている恐れがあり、そのまま飲むのは危険です。最低5分間煮沸殺菌してから飲むか、栓がしっかりしたミネラルウォーターを飲むようにして下さい。煮沸することが出来ない場合は、水殺菌剤を濁りのない透明な水道水(川や湖の水は厳禁)に加える殺菌方法(下記参照)があります。

水の殺菌方法

  • 次亜塩素酸ナトリウム 1%(ピュア)の場合は、水1リットルあたり、2~3滴を加えてよくかき混ぜ5~10分放置する。
  • 3%ヨードチンチンキ(市販消毒薬)の場合は、水1リットルあたり、3滴加えて20分放置する。うがい用イソジンでも可。
  • 冷たい水を使用する場合は2~3時間放置した後に殺菌する。飲む際に軽いヨード臭がするが問題ない。

4.危険な食べ物を知ろう!

食べ物も水と同じで、衛生環境の良くない所では、微生物で汚染されている恐れがあります。旅先では、目の前で煮立っているものを熱いうちに食べるよう心がけてください。

特に危険な食べ物3つ

  • 果物:長時間放置されたカットフルーツは、汚染されている可能性があります。
  • :安全でない水から作られている可能性があります。氷の入ったジュースやウィスキー、アイスキャンディー、アイスクリーム も同様です。
  • 乳製品:乳製品はサルモネラ菌などが増殖しやすいため、牛乳は必ず沸かしてのみ、コーヒー・紅茶などに入れる「生のミルク」にも注意して下さい。

5.下痢が起きても慌てず、適切な対処を!

多くの海外渡航者は、旅行中に下痢を起こします。下痢は、侵入してきたウイルスや大腸菌、サルモネラ菌などの異物を排除しようとする大切な体の働きですので、無理に止めたり、我慢しないようにして下さい。
通常、下痢は48〜72時間以内に自然治癒します。しかしその間、体内からたくさんの水分や塩分などの電解質が失われているので、スポーツドリンクか、殺菌水に食塩と砂糖を溶かしたもの(殺菌水1リットルに食塩ティースプーン1/2杯と砂糖ティースプーン大盛4杯)を出来るだけたくさん飲みながら、脱水症状が起こるのを防いで下さい。しかし、下痢に血が混じっていたり、7日以上続く時は、医療機関への受診が必要です。

6.防虫対策を徹底する!

マラリアやデング熱など、蚊が媒介する病気を予防するには、下記のような防虫対策が重要な意味を持ちます。

  • 夜間の外出には、長袖シャツと長ズボンを着用する
  • 衣服に防虫スプレーをかける
  • 衣服から露出する部分には、虫除けの薬を塗る
  • 寝る前に室内に防虫スプレーを散布する(蚊取り線香やマット式蚊取りでも可)
  • マラリア流行地域では、殺虫剤の成分を染み込ませている蚊帳(かや)を使用する

7.マラリア対策を知ろう!

マラリアには現在の所、有効な予防接種がないので、マラリア流行地域へ渡航する場合は、流行状況を確認し、防虫対策を徹底することの他に、マラリア治療が出来る医療機関を探しておくことが重要です。
マラリアの主な症状は発熱で、風邪やインフルエンザと間違えられやすいため、マラリアに罹った時、どの医療機関にかかるかが命の分れ目になることがあるのです。他の病気でも同じことはありえますが、マラリアとくに熱帯熱マラリアの場合には,1-2日の遅れが生命の危機につながりますので注意しなければなりません。
また、渡航先や滞在期間、夕暮れ時以降の野外活動の可能性から考えて、感染のリスクが高い場合は、抗マラリア薬を予防的に内服(倦怠感などの副作用を伴うことも有)することをお勧めします。抗マラリア薬には、クロロキン(現地の薬局で入手可)、メフロキン、ドキシサイクリン(いずれも日本で入手可。ただし医師の処方が必要)があります。
詳しいことはヘルスクリニックまでお問い合わせ下さい。

8.狂犬病に注意!

狂犬病は治療が遅れると確実に死に至る病気ですから、むやみに動物に近寄らない、餌を手渡しで与えないようにして下さい。狂犬病は犬による感染だけではなく、ペットや野生動物など全ての哺乳類動物から感染します。万が一、動物に噛まれたら、速やかに医療機関で狂犬病ワクチンを打ってもらいましょう。

9.早めに予防接種を受けよう!

国(地域)によっては、入国時に予防接種証明書を要求される「絶対に必要なもの」と、感染症から身を守るために「任意」で接種するものがあります。鶴見病院「海外旅行者の医療相談窓口」(第1・3火曜日午後 要予約)では、旅行医学の専門医師から、自分の渡航先に必要な予防接種について、適切なアドバイスを受ける事が出来ます。海外渡航の予定がある方は、早めに受診して、余裕を持った予防接種の計画を立てるようにして下さい。なお、長期滞在や留学の場合は、通常の旅行とは違った予防接種が要求されることもあるので、事前に渡航先の在日大使館や大学へ問い合わせるようにして下さい。

10.医療用品も旅行バックに入れる習慣を!

  • 水殺菌剤(飲料水、洗面用水、食器洗い用水に用いる)−イソジン、次亜塩素酸ナトリウム
  • 応急処置用の医薬品−消毒薬、カットバン、伸縮包帯、滅菌ガーゼ、ハサミ、ピンセット、毛抜き
  • 防虫用品−虫除け剤、防虫スプレー、蚊取り線香、蚊帳、殺虫剤
  • その他−総合感冒薬(風邪薬)、解熱鎮痛薬(痛み止め)、胃腸薬、整腸剤、抗生物質、かゆみ止め軟膏、食塩と砂糖または粉末スポーツドリンク、コンドーム、生理用品

*粉末の薬は「麻薬」と間違われるケースもあるので、できるだけ避けましょう

参考文献
「海外へ行く時の感染症HANDBOOK」(エイズ・感染症特別委員会発行)

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