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短期海外研修プログラムの学びについてAPUとIBMが共同論文を発表

教育プログラム|連携事業|研究

2023/11/15

教育開発・学修支援センターの筒井久美子准教授、カッティング美紀教授、言語教育センターのJUNG Jonghee准教授が、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)と共同論文を執筆しました。APUの短期海外研修プログラム「FIRST*1」における学びのプロセスを、AI技術を活用して分析・可視化した「プロジェクト型の大規模短期海外研修プログラムにおける学びの可視化―グループにおける相互作用の特徴語「任せる」(他者依存)を中心に―」と題した論文で、異文化コミュニケーション学会(SIETAR Japan)発刊の研究ジャーナルである「異文化コミュニケーション」第26号に掲載されました。

本研究は、旅と学びの科学的な検証に挑戦する「旅と学びの協議会*2」の取り組みの一環として、短期海外研修プログラムにおけるグループでの学びを明らかにするために、APUと日本IBMで取り組んできました。従来は、数名から数十名を対象とする小さなサンプルサイズにおける、個人の学びに着目した研究が主でしたが、本研究では、大規模なプロジェクト型の短期海外研修プログラムである「FIRST」を対象に、200以上の振り返りレポートを分析し、グループの学びのプロセスを可視化しています。

また、経験学習理論*3とAUM理論*4にもとづく教育的仕掛けと学びの関連性を議論することで、短期海外研修プログラムにおける効果的な教育設計を提案しています。本研究の分析にはIBMのAIであり、複合的な検索・テキスト分析のプラットフォームであるIBM Watson Discoveryを活用しています。

今後、異文化環境における能動的な態度やグループへの関わり方といった有意義な学びを、短期の研修プログラムであっても集中的かつ意図的に生み出すプログラム開発と実践の発展が期待されます。

本件のプレスリリースはこちら

*1:FIRST
FIRST(Freshman Intercultural Relations Study Trip)は、APUの初年次生向けのプログラムで、学期ごとの休暇を利用して国内外に赴き、そこで初めて出会う人々との交流や調査活動を通して、アジアの文化・社会に直接触れることが出来る短期集中プログラム。
プログラムの詳細はこちら

*2:旅と学びの協議会
「旅と学びの協議会」は、ANAホールディングス株式会社が、立命館アジア太平洋大学(APU)学長 出口治明氏、理事 東京学芸大学大学院准教授、スタディサプリ教育AI研究所所長 小宮山利恵子氏、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授 前野隆司氏、駒沢女子大学観光文化学類教授 鮫島卓氏をコアメンバーとした有識者とともに、教育工学・幸福学・観光学の視点から、旅の効用を科学的に検証し、次世代教育の一環として旅の活用を提言することを目的に2020年6月に設立した任意団体。
公式HPはこちら

*3:経験学習理論
経験による学びを、「具体的な経験」「内省的観察」「抽象的概念化」「能動的実験」という4つの要素に基づくサイクルとして提唱した理論。

*4:AUM理論
不安・不確実性調整理論(Anxiety/Uncertainty Management Theory)。不安が高すぎると相手の行動を予測できずコミュニケーションをとることを恐れ、低すぎると相手に関心を持たなくなるため、文化的適応にはある程度の不安と不確実性が必要であるとされる。



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