立命館アジア太平洋大学

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学長ノート

新入生へのメッセージ(2018年秋入学式)

2018/9/26

新入生の皆さん、入学おめでとう。保護者の皆さん、お子さまのご入学、本当におめでとうございます。APUを代表して、皆さんを歓迎します。

ちょうど先月、マレーシアのマハティール首相が初めてAPUにお越しになり、APUから名誉博士号を授与しました。名誉博士号授与式のスピーチで、「世界中の若者がお互いのことを学ぶのはとても大事なこと。国同士の関係を良くするには、お互いをよく知らなくてはならない」とマハティール首相は語られたのです。そして、「もしお互いをもっと良く知ることが出来れば、紛争は減るだろう。紛争があったとしても、暴力や戦争で解決するのではなく、対話や仲裁を通じて、または法のもとに解決することが出来るようになるだろう。そして、それが世界の平和や発展に繋がる」と話されました。

僕もその通りだと思っています。お互いを良く知り、分かり合うことで、もっと平和な世界を作っていける。人に会い、その人の考え方を知る。それだけで平和への第1歩なのです。僕は、常々「人・本・旅」で人は学び、成長すると言っています。たくさんの人に会い、たくさん本を読み、いろいろなところへ出かけていって経験を積むことで人は賢くなるのです。

幸い、APUには、世界90の国や地域から多彩な個性が集まってきています。まさに、「若者の国連」のような場所です。これほど、ダイバーシティに溢れたキャンパスはわが国には他にはありません。多くの皆さんは世界の仲間とこれからAPUで共に日常生活を送ります。いくらでも、人から学べるのです。お互いにたくさん友達をつくって、世界の人は何を考え、どういう学生生活を送ろうとしているのか、そしてその先にあるどういう人生を歩もうとしているのか、お互いに忌憚なく話し合い、相互理解を深めて、自らの肥やしとしてください。

本については、ぜひ、何冊かは古典に挑戦してほしいと思います。何十年、何百年と世界で読み継がれてきた古典は素晴らしいに決まっています。人間の脳はこの1万年以上、進化していません。喜怒哀楽や判断は昔の人も今の人も同じです。ですから、昔の本であっても優れた本は色あせることが全くないのです。今、吉野源三郎著書の「君たちはどう生きるか」という本がベストセラーになっています。漫画にもなっていますから、読まれた人も多いことでしょう。でも、この本は1937年、今から80年以上も前に出版されたのです。僕は、本が大好きです。皆さんのために、読んでほしい古典のリストを作り、式次第に挟みましたので、参考にしてください。

次は、旅について。旅とは現場へ出かけることです。「美味しいパン屋ができたよ」「あっそう」では話になりません。自分で行ってパンを買って食べて美味しいと思ってはじめて理解ができるのです。僕は、皆さんに留学をはじめとする海外体験を強く勧めたい。せっかく、世界中から集まる若者とAPUで知り合いになれるのに、それらの世界の皆さんの故郷に行ってみたいと思わないのはもったいないではありませんか。大学の時代は、長い人生で一番自由に使える時間が多い期間です。その時間を使ってぜひ広い世界に飛び出してみてください。「百聞は一見に如かず」という言葉があります。きっと皆さんの人生が変わると思います。APUでは交換留学をはじめとする様々なプログラムを用意して皆さんが海外に飛び出すことを応援しています。ぜひ、広い世界にチャレンジしてください。

ところで、「人・本・旅」で何を学ぶのでしょうか。「人・本・旅」で学ぶのは、知識を得ることに加えて考える力を鍛えることなのです。「いろいろな知識を身につける」×「自分の頭で考える」ことだと思います。これは、おいしいご飯を料理することとも似ています。では、おいしいご飯を調理するためにはどうすればいいのでしょう。最初はレシピ通りに作ってみて、自分で匙加減を加えていくでしょう。考える力も同じです。最初は世界の様々な文化や人の考える型や発想の方法を真似るところから始めなくてはなりません。この意味でも、若者の国連の只中にいる皆さんはとても恵まれているのです。

APUは、世界に2つとない大学です。それはおよそ90の国や地域から学生が集まっているからだけではありません。日本語と英語の2言語で教育を行っているからで、こうした大学は他にはありません。多言語が使えるマルチリンガルになれば、格段に世界が広がります。ぜひAPUで日本語基準の方は英語を、英語基準の方は日本語を磨き、学ぶチャレンジを楽しんでください。

最後に1つ皆さんに伝えたいことがあります。なぜ皆さんはクローゼットや引き出しの中を整理するのですか。それは、取り出しやすくするためです。知識も同じ。「人・本・旅」で学んでも、必要な時に取り出せなければ意味がありません。では、人はどうやって頭の中の引き出しを整理するのでしょうか。

それは、「自分の言葉に直す」ことによって整理するのです。ですから、インプットしたものはアウトプットすることによってのみ記憶に残るのです。「人・本・旅」で感動したら、近くの友人に喋り捲りましょう。さらに、その感動をブログやフェイスブックに書けばもっと頭の中が整理されます。

僕はこの1月に学長に就任しました。皆さんと同じ新入生です。一緒に手を携えてもっと楽しい、もっとワクワクドキドキする、もっと学べるAPUを創っていきましょう。

2018年9月21日
立命館アジア太平洋大学
学長 出口治明



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